
塩化ビニールのダイオキシン問題について
弊社で加工する塩ビシートは焼却時にダイオキシンが発生します。ダイオキシンとは、塩素を含む有機物が燃焼・化学反応を起こす際に特定の条件下で生成される有害物質 です。その問題について、詳しく解説いたします。
目次[非表示]
・ダイオキシンとは
ダイオキシンとは、塩素を含む有機化合物が高温で燃焼する際に発生する有害物質 で、発がん性・環境ホルモン作用・生態系への悪影響 などが指摘されています。特に、塩化ビニル(PVC)を含む塩ビシートの焼却時にダイオキシンが発生することが問題視されてきました。
・塩ビシートとダイオキシン問題の関係
塩ビシートは 塩素(Cl)を含むプラスチック であり、不適切な焼却処理(低温焼却や野焼き)を行うと、ダイオキシン類が発生しやすくなります。特に、1990年代には日本国内でもダイオキシンの発生が大きな社会問題となり、塩ビ製品全般への批判が高まりました。
・日本国内におけるダイオキシン規制と対策
1990年代後半から、日本ではダイオキシンの排出削減に向けた厳しい規制が導入されました。
1997年:廃棄物処理法改正 → 野焼きの禁止、適切な焼却処理の義務化
1999年:ダイオキシン類対策特別措置法 → ごみ焼却施設の排出基準を強化
2000年代以降:高温焼却技術の導入 → 850℃以上の高温での完全燃焼処理が義務化
これらの規制により、適切な焼却処理を行えばダイオキシンの発生は大幅に抑えられる ことが確認されました。現在では、日本国内の焼却炉は環境基準をクリアし、ダイオキシンの排出量は ピーク時の10分の1以下 にまで削減されています。
・塩ビシートの環境対策と代替素材
ダイオキシン問題を受けて、塩ビシートの環境対策が進められています。
鉛系可塑剤の廃止 → 現在は環境負荷の少ない「非鉛系可塑剤」が主流
リサイクル技術の進化 → 塩ビシートの再利用を促進(メカニカルリサイクル・ケミカルリサイクル)
代替素材の導入 → オレフィン系シート(PE・PP) など塩素を含まないプラスチックへの置き換え
特に、オレフィンシートはダイオキシンを発生させない ため、食品包装や医療分野などで採用が増えています。
ただし、塩ビシートの耐久性や加工性は依然として優れており、適切な処理を行うことで環境負荷を低減できるため、現在も多くの分野で使用されています。
・塩ビシートは850℃以上で燃やすとダイオキシンが発生しない理論
ダイオキシンの発生メカニズム
ダイオキシンは、塩素を含む有機物が低温(約300~600℃)で燃焼する際に、不完全燃焼によって発生する ことが知られています。特に、不十分な燃焼条件では塩素が炭素と結合し、ダイオキシン類が生成されやすくなります。
しかし、適切な燃焼条件(高温・酸素供給・完全燃焼)を満たせば、ダイオキシンの生成を抑えることができます。
850℃以上で燃焼するとダイオキシンが発生しない理由
日本の環境基準では、850℃以上で完全燃焼させることで、ダイオキシンの発生を防ぐ ことができるとされています。その理由は以下の通りです。
高温燃焼による分解
ダイオキシンの分解温度は 800℃以上 とされており、850℃を超えるとダイオキシンが燃焼過程で分解され、二酸化炭素(CO₂)と水(H₂O)に変化 します。
二次燃焼処理による無害化
多くのごみ焼却施設では、二次燃焼室 を設けており、850~1,000℃で燃焼させることで未燃ガスやダイオキシンを完全分解しています。
滞留時間の管理
850℃以上の高温環境に2秒以上 燃焼ガスを滞留させることで、ダイオキシンの分解を徹底します。これは日本のダイオキシン類対策特別措置法でも義務化されています。
実際の日本の焼却炉での適用
日本国内の廃棄物処理施設では、最新の焼却炉が850~1,200℃での燃焼を行うことで、ダイオキシンの発生を抑えています。これにより、1997年をピークにダイオキシンの排出量は大幅に減少しました。
・まとめ
塩ビシートの燃焼時にダイオキシンが発生するのは低温燃焼(300~600℃)のときのみ であり、850℃以上で燃やせばダイオキシンは分解されてほぼ発生しない ことが科学的に証明されています。これにより、日本では高温焼却技術を採用することで、塩ビシートを含む廃棄物処理の環境負荷を削減しています。よってダイオキシン問題は現在では大幅に改善 されています。
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